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“Paradox yard”

 

 

“Paradox”とは矛盾であり、革新と懐古、混沌と秩序、陰影と光輝といった相反する要素が共存している様である。

東京という街が持つ空気にもそういった矛盾が溢れている。

しかしそれらは対極となる存在があるからこそ際立って、私たちを惹きつけてやまない。

また矛盾する価値観を融合させることによって、見る者に違和感を与え、先入観を疑るよう呼びかける。そしてその凝り固まった観念を共に解きほどいていく存在でありたいとの思いが込められている。

 

“Yard”とは英語で庭を指す言葉である。

ただ野草が生い茂る地は庭とは呼ばれない。

人間が生活を営む場所からごく近い距離にある空間に、白紙の上に様々な色で絵を描くように、草木を植えたり、石を配したり、泉水を築いたりする。

それぞれの徴表が調和するよう緻密に計算して配置し、互いに引き立てあう美しい空間を創り上げる。

その空間に足を踏み入れた人々の憩いの場となるように。

庭とは、そうして人の手を加えることによってのみ完成する、様々な異物が混ざり合った極めて人間的で自由な空間なのである。

 

相反する性質の調和によって生まれる美しさで人々を触発し、共に新たな価値を生み出す空間となることを願って。